2007年度作品。アメリカ映画。
シカゴに住むスタンレーには長女ハイディと、次女ドーン、そして陸軍軍曹でイラクに単身赴任中の妻グレイスの家族がいた。ある日、グレイスが亡くなったという報せがスタンレーの元に届く。突然の訃報に途方に暮れるスタンレーは幼い娘に真実を告げることができず、衝動的にフロリダにある遊園地まで行くことにする。
監督はこれが初監督のジェームズ・C・ストラウス
出演は「ハイ・フィデリティ」のジョン・キューザック。シェラン・オキーフ ら。
この映画で描かれる父娘の姿を、僕は大変好ましく感じた。
妻を亡くし、混乱しているためにちょっと頼りなく見える父親と、しっかり者だが妹と戯れる子どもっぽさも持った姉、そして無邪気でやんちゃな妹という三人の姿は誰もが愛らしく、彼らに寄り添うようにして映画の世界に浸ることができる。
そんな家族の関係性の描き方はとにかく丁寧だ。
家族のつながりを感じさせるエピソードを、こまごまと静かに積み重ねることで、父と娘が互いを思いやっている姿が伝わってくる。その情景は心に深く沁み入ってくるものがある。
混乱しながらも、娘を思う父親の姿は真摯で胸を打つし、真相をそれとなく察しながら、父を気遣う姉の行動はあまりにいじらしい。そんな彼らの姿を見ていると、心の中で小さく応援したくなってくる。
また最後の方の遊園地の映像などは本当に楽しそうで、見ていても心がほんわかと温かくなる思いがした。
そしてそのような積み重ねがあるからこそ、妻の死を娘に告白するラストのシーンが胸にジーンと響くのだ。
僕は基本的に泣ける映画は嫌いなのだが、この映画は押し付けがましくなく、静かに情景を積み重ねることで、エモーショナルな部分に訴えかけることに成功している。皮肉屋の僕も素直にいい映画だ、と思い、何のためらいもなく感動することができた。
さりげなく戦争に対する批判を入れたり、キャラクターにテーマ性を語らせる手腕も押し付けがましさがなく、センスが光る。
地味な作品ではあるが、もっと注目されてしかるべきだろう。
評価:★★★★★(満点は★★★★★)
お言葉見る限り、とても素晴らしい映画のようですね。
近々借りて見ようかと思います。
本当にすばらしい映画ですので、ぜひとも見てください。じんわりと来ますよ。